「首が座らない」2つのタイプ

 実際「首が座らない」ということだけでご相談に来られる方は稀です。首座りに関するご相談は大きく二つのタイプがあります。

1、先天的な疾患などで、発達全体が停滞していて寝返りも出来ない状態

2、お座り出来ない、立てない、歩けないなど、一見、首座りとは無関係なご相談で来られるのですが、当方の検査では「まだ首が座っていない状態」にあるケース

首座り完成までの2段階

 首座りについて、一般的には「引き起こし反応」で判断しています。中心軸赤ちゃん整体では、首座りの完成までには以下の2段階があると考えます。

1段階目:引き起こし反応

2段階目:胴体を垂直に保ったお座りで、
     頭部を垂直に保つことが出来る=首座りの完成

「首が座る」とは、歩けるようになるための、一つのステップです。直立二足歩行の獲得に向かうには、上半身を起こした状態で「重たい頭を安定して保てること」が必須となります。

 一般的に言われる「首が座った」という表現は、本来の首座りの途中経過の中の「首の筋肉の発達」という一部分でしかありません。

「頭を持ち上げることが出来るようになること」と、
「重たい頭を安定して保てることが出来る」は別のことです。

 この点を間違えてしまうと、まだまだ不安定な首のまま、「首が座った」と思い込み、時期尚早な他力によるお座りのアプローチや、お座り用の椅子使用など、肉体負担となる行為が行われやすい傾向にあります。 

 1段階目で首の筋肉が発達してきたのが確認出来たら、その後も腹這いや、這い這いなどで胴体・股間節の発達を待ち、首を支える胴体を作りながら、自力でお座りを獲得していくまでのプロセスを見守ることが適当であり、本来の「首座り完成」への道と考えます。

首座りと頭の形の関係は?

 冒頭1のように寝返りもずり這いも出来ない、発達全体の停滞している赤ちゃんほど、頭の膨らみが弱く、膨らみの偏りも大きい傾向にあります。

 赤ちゃんの成長・発達は個人差が大きく、むやみに焦ったり、闇雲に不安になる必要はありません。

 しかし、この時期の発達は一生涯に大きな影響を与えるものです。「何かおかしい」と感じながら、何の展望もなく時間の経過を待つには重要過ぎるこの時期に、数ヶ月〜1年以上も経過観察をしている程、時間に余裕があるものでもありません。

 これまでの施術例から、首座りが遅れている赤ちゃん程、重症度が高いことから、頭の形がおかしい、向き癖、身体がC字に曲がっているなど、不自然さや「何かおかしい」と感じられている場合、早期に施術の検討をおすすめしています。

赤ちゃん 頭の形 首すわり

Mちゃん4ヶ月の事例からより詳しく

2015年7月から施術を開始したMちゃん、当時4ヶ月。
多くの事例の中でも、一つの節目となるような貴重な事例でしたので少々長くなりますが、ここに記します。
(事例内容だけを見たい方は「後編」を御覧ください。)

また赤ちゃんの発達にお悩みの方、マス目の歪みという観点から身体を整える骨格細分化調整に関心をお持ちの方、前編、中編は、骨格細分化調整の実際を知る上での参考になるかと思います。

首が座らない、頭の形がおかしい Mちゃん4ヶ月〜前編

骨格細分化調整で赤ちゃんや子供達の調整を始めるようになり、
ある程度の予測を持てるようになってきた。

ある程度の予測というのは、重症度の事だ。
もっと簡単にいうと調整による変化が
期待出来る範囲にあるのか、ないのか。
範囲にあった場合でも、どれ位の頻度で調整が必要なのか、
また回数、期間はどれ位必要かなどの違いがある。

重症度というのは、構造上の変形や、
諸器官の低形成、疾患の有無はもとより、
当調整法に関しては、
「歪みの大きさ、複雑さ」
がそれとなる。

しかし、身体内部で多重構造となっている
と考えられるマス目の歪みは、
表面化しているものしか確認することが出来ない。

「歪みの大きさ、複雑さ」という重症度を判断するのに
最も分かりやすいのが、
・頭部変形と、
・頭部の大きさ(膨らみ、発達具合)だ。

中には小さいながらも着実に成長をとげていく子もいる。
が、比率からすれば、
頭囲が平均的大きさに成長していく子と、
頭囲の成長が思わしくない子とでは、
それ相応の違いが生じる。

当然、調整回数もそうでない子よりも多くなる。
また、頭囲の成長は6ヶ月までが最も高く、
以降、緩やかな成長となっていくため、
6ヶ月以内にこうした要因を少なくしていくことが重要となる。

通常、発達の異常に気がつくのは
首座り以降の、
お座りや立位が出来ない、
もしくはこれらを通過した後の、
言語・知能の段階で気がつく事がほとんどだ。

特に知的面については、専門機関で
明らかに問題があると判断されるまでには
一定の年齢が必要なことが多々ある。

実際の所、発達の程度は個人差が大きく、
ある程度成長してからでないと、
本当に問題がある状態なのかどうかの判断は難しい。

しかし、
「分からないなりにも、分かること」
というものがある。
経験や本能的なものから感じる
「何かおかしい」という感覚だ。

科学や医療が進歩し、多くの人が
命を永らえる機会が増えた。

しかし、現代科学は万能ではない。
それどころか、科学が進歩すればする程、
見えてこない部分、解らない部分がある事もわかってくる。

私達はマス目の歪みの調整経験から、
「少しでも早い段階でのマス目調整が必要な子供達がいる事」
「出来るだけ早期に行う方が、より効果が期待出来るもの」
と考えている。

多くの赤ちゃん、子供達と共に
「マス目調整の可能性」を体験してきて、
このような見解に至っている。

いわゆるエビデンス、科学的根拠
と言われるものは何もない。

現段階では、誰もが理解、納得し、
絶対的な効果を保証出来るものでもない。

当然、マス目調整に可能性を見出す人は限られる。

ただ言えることは、この「マス目」
というものは、
まだ科学で証明されていないというだけで、
・それは確実に存在し、
・その存在はヒトの発達、成長に深く関与し、
・重力下における私達人類の進化にも影響を及ぼし続けているもの
である可能性が高いという事だ。

このような状況の中、私達の元に一人の赤ちゃんが訪れた。

首が座らない、頭の形がおかしい Mちゃん4ヶ月〜中編

頭皮に引っ張られているのか、
不自然に吊り上がった目、
全体に小さすぎ、膨らみがなく、
赤ちゃんらしからぬ細すぎる手足。

そして最も気になるのは、
明らかに普通ではないと言わざるを得ない
頭部の形状。
・前後圧縮、
・サイドの張り出し、
・前低後高、
いずれも非常に大きい。
絶壁というより、
耳から後半分がないかのような
膨らみのなさ。

前編の冒頭で述べた重症度でいくと当初、
調整による変化は期待出来そうにない
と思わざるをえない出会いだった。

非常に残念なことだが、「手の届かない範疇」
と思うしかないような状態の赤ちゃんと出会う事がある。

その子達の顔と頭が浮かび、
心が押し潰されそうになった。

ただし、器質的問題は見られず、まだ4ヶ月。

早期に相当数の調整を行ってみる事。
それだけが唯一の可能性。希望。
私達に出来ることはそれ以外何もない。

調整10回目までの間で、
御両親ともに分かる様な
明らかな変化は見られなかったが、
私達の観察では、首の筋肉に変化が見られていた。
その事を伝え、毎週々、繰り返し調整を行った。

他のお子さんに比べると、
変化が顕著となるまでには多くの回数を必要とした。

しかしその結果は、私達の絶望感を
新たな希望へと導いてくれる出会いとなった。

首が座り始め、
お座りが出来るようになり、
立ち、歩き始めるまで、
一年近く要したが、
現在は月齢にふさわしい独歩をしている。
「元気すぎて目が離せない」
もう誰が見ても普通の幼児だ。

首座りまでの間は、
「専門機関での精密検査を」をと、
誰もが思う様な状態だったMちゃんが、
発達検査でも、問題なしと言われるまでに成長。

この体験から、前編の冒頭で述べた
頭囲の成長、変形と、
マス目調整の持つ可能性についてを
伝えていく責任を、更に強く
実感する様になった。

マス目の存在。
自分達に見えているものは、一体何なのか?
誰も知らない、
誰にも教えてはもらえない、
誰も答えを持たない。

しかし、目の前で起き続ける現実が、
私達の手元だけに置いておくには、
あまりに重要な内容に思える。

情報発信の責任を感じながらも、
様々な困難を思い、
目をつむりたい自分もいる。

恐怖心、自分の弱さをしっかり認識し、
それでも尚、自分がどうしていきたいのか。

その選択の繰り返しが今に続き、
Mちゃんと出会う事が出来た。

首が座らない、頭の形がおかしい Mちゃん4ヶ月〜後編 

以下、Mちゃんの経過となります。

2015年7月(生後4ヶ月)から調整開始。
まだ目立った遅れ等は分からないとの事だったが、
以下が気になり来訪。
・出産時に顎関節症と言われた。(下顎・舌左寄り)
・右半身が縮んだC字状態。
・頭も常に右に傾げている。
・頭の形が明らかにおかしい。

3回後、首がややしっかりしてきた感じがあった。
頭部側部の張り出しが減少傾向。

5回後、2回だけだが寝返りがうてた。

8回後、右を向けるようになってきた。
手足をよく動かすようになり始め、
全体に活発さが出てきた。

10回以降は後頭部の膨らみが
明らかに認められる状態になってきた。

12回後、寝返りで移動開始。
C字、頭部右傾げも減少し始める。
6ヶ月検診で指摘された左脚の捻れも改善傾向。

15回後、泣くか無表情だったのが、笑顔が出始める。

調整開始から5ヶ月後の生後9ヶ月頃から喃語が出始める。

11ヶ月になる頃、ずり這いが始まる。

1歳1ヶ月、調整30回頃からハイハイ開始。
自力でのお座り獲得。
小児科でも「首座り完了」と言われる。

この辺りから、コミュニケーション、
知的面共に、目覚ましい発達が進み始める。

同じ月齢の子と比べると、まだ明らかに
頭が小さすぎる事や、変形が認められるが、
10ヶ月前の調整開始時とは
比べ物にならない位膨らみ丸さがある。

今までは前後圧迫の歪みが大きすぎて
潰れたようになっていたため、解らなかった
「左右の違い」が浮き彫りになり始めた。

Mちゃんのマス目はA3型が内在しており、
この事で、ハイハイでの軌道や、
お座りの不安定さが生じている。

ハイハイの移動とつかまり立ちが続く中、
頭部の膨らみが増しながら、
右前方左回旋となる歪みの調整が続く。

調整開始から13ヶ月、46回目。
1歳5ヶ月で生まれて始めて
手を離しての一歩が出た。

立位での右脚の回内が大きいながらも、
調整の度に減少しいき、
1歳8ヶ月、ついにMちゃんがヨチヨチながらも
一人で玄関から入ってきた。

今まで何度も味わってきた感動の瞬間。
Mちゃんもついに、この日を迎えることが出来た。

以降、歩行の不安定さは、立位での歪みの減少と共に
なくなっていき、今では
「元気すぎて目が離せない」
もう誰が見ても普通の幼児だ。

6ヶ月検診の頃「首座りが出来てない」と指摘され、
明らかな不自然さ、専門病院での検査を検討、
骨格細分化調整に出会う前に、受けてきた他の整体では、
全く希望を見いだせないままだった事、
来る日も来る日も発達の様子が見られず、
行くあてのない不安な日々を思い、
「あの頃の自分に大丈夫だよ!って教えてあげたい」
お母さんから繰り返し頂いた言葉に、
私達も込み上げる想いで一杯になった。

Mちゃん事例の考察について、
以下もご覧下さい。

赤ちゃん発達と歪み〜首座りの重要性〜①
「Mちゃんの事例からの考察」

Mちゃんの発達経過をおおよその平均と比べてみます。
喃語9ヶ月(遅め)平均4〜5ヶ月
ずり這い11ヶ月(遅め)平均7〜8ヶ月
ハイハイ1歳1ヶ月(遅め)6ヶ月〜10ヶ月
首座り完了もほぼ同時期
1歳5〜8ヶ月一人歩き(遅めだが平均範囲)平均1歳前後

文字だけで見ると
「ちょっとゆっくりめ、のんびりやさんな子なだけ」
と思われる方もいるかも知れません。

Mちゃんの事例でのポイントは
・明らかな頭部変形、
・右半身C字の強い縮み、
・左脚捻れ(左足部内反)があり、
「首座り完了までが、とても長い時間がかかった」
という点にあります。

このように見て分かる様な明らかな不自然さが、
「全くない」という場合は
「ちょっとゆっくりめ、のんびりやさんな子なだけ」
とも思います。

Mちゃんの場合、
「頭部の歪みが原因で首座りの困難さが生じている」
ので、この点が解消されない場合、
①ずっと首が座らないまま、
②何年がかりで首座りが進む、
③「何とか首が座ったかのような状態に頭を起こすことが出来る」ところまでいく
かの、いずれかになります。

骨格細分化調整での重症度の目安は
「頭部の膨らみ具合、変形の大小」
ですが、同時に
「月齢との発達具合の開きが大きい」
程、重症度が高くなります。

これは時間が経つほど、マス目の歪みの量は増えて、
複雑化していくためです。

またそれに伴い、
筋骨格的にも変形が進む可能性も高まります。

Mちゃんの事例では、最初の難関、
首座りが調整により発達を促すことが出来たことで、
ずり這い開始こそ遅めでしたが、
その後は順調な発達路線に向かい、
一人歩き開始は、ほぼ平均範囲になりました。

赤ちゃん発達と歪み〜首座りの重要性〜②
「何かおかしい」の感覚は重要

「何かおかしい」
の感覚だけでは曖昧ですが、
目で見てわかるものとしてはやはり
「頭の形」
が最も分かりやすいと思います。

また、向き癖と言われる片側に偏った状態や、
手足の左右不均等、捻れ、その他、
眉間にシワがよりそうなしかめっ面、
目尻、眉尻が下がった悲しそうな表情、
熱があるわけじゃないのに
顔面がいつも真っ赤などがあります。

赤ちゃんの頃はフニャフニャで
筋肉拘束(筋肉の緊張による締め付け)がないので、
仮に歪みがあっても、見て分かるほどではありません。

立って歩くようになってくると、
筋肉が骨格を支える事で筋緊張が強まることから、
歪みが顕著になってきます。

歩き方の左右差や、
変な走り方をする、
座り姿勢が明らかにおかしい、
曲がってきたなど、
「成長とともにお子さんの歪みを感じる様になった」
親御さんは少なくありません。

ところが、まだフニャフニャで
仮に歪みがあっても顕著に分かるはずのない時期から
明らかな左右差、不自然な筋肉状態などがある
というのはどういうことでしょうか?

赤ちゃんの成長・発達は個人差が大きく、
むやみに焦ったり、闇雲に不安になる必要はありません。

しかし、この時期の発達は一生涯に大きな影響を与えるものです。
何の展望もなく時間の経過を待つには重要過ぎるこの時期に、
数ヶ月〜1年以上も経過観察をしている程、
時間に余裕があるものでもありません。

第二次成長期に、男女の特徴が顕著になりながら
身体が大きく丈夫になっていくのとは
ことの重大さが何十倍も違います。

仮にこの時期の成長が今一つでも、
立って歩けて、皆と同じようにそれなりに生きていけます。

第一次成長期は、短い期間に急激に成長が進みます。
この時期を逃すことは、「成長の勢い」という
強い後押しエネルギーの援護が低くなってしまうことです。

赤ちゃん発達と歪み〜首座りの重要性〜③
「経過観察」何の展望も無しに過ごすには重要過ぎる時期

「様子を見ましょう」
「経過観察中」
その後、問題がありそうだ
となってから、様々な検査が始まり、
そこで何かしらの病名がついた場合、治療開始。

何も解らない場合、
運動療法などで刺激を加えながら
再び経過観察となります。

ここまでで1、2歳。
この間に発達が進んでくれれば良いのですが、
首座りがまだ、お座り不可、
座らせてみてもグニャグニャで
お座り出来ているとは言い難い状態などの場合、
以降の発達も全体がずれ込む、
もしくは停滞状態の可能性が強くなります。

また実際のところ、経過観察の後、
最適な手立てがあるかというと、
皆さんすでに体験されてきた運動刺激、
薬物投与、矯正器具などで、
現状に対する対処法しかありません。
それ自体は必要なことです。

しかし、経過観察というのは、
「観察期間を設けることで何かしらのメリットがある」
というものではなく、
「現実に白黒つけるのが難しいから、
白黒がはっきりするまで待つ」
ということです。

実際のところはわからないので、答えようがないだけのことです。

中には親切な医師もいて
「現代医学ではわからないから、
民間療法や何か他の治療法を探すことを勧めます」
と伝えて下さる方もいます。

Mちゃんの事例が
「ただゆっくりめな子だったのか」
を検討する場合、調整をせずに
1歳5ヶ月までの経過を見るしかありません。

これまで出会ったお子さん達の多くが
経過観察中、もしくはそれを過ぎてからだったことと、
首座りが遅れているお子さん程、
重症度が高いことから、
事の重大さを痛感するようになりました。

ご自身やお子さんが
「ゆっくりめだったけど、問題なく成長した」
「頭の形はいびつだったけど、問題なく成長した」
こうした体験をお持ちの方の場合、
「心配しなくても大丈夫」
「うちもそうだったから」と思われると思います。

自分の体験からの真実ですから、そう思うのが普通です。

でも、今目の前にいる自分の子が、
他の方と同じように成長するかどうかは、
誰にも判りません。

繰り返しになりますが、
赤ちゃんの成長・発達は個人差が大きく、
むやみに焦ったり、闇雲に不安になる必要はありません。

しかし、この時期の発達は一生涯に大きな影響を与えるものです。
「何かおかしい」と感じながら、
何の展望もなく時間の経過を待つには重要過ぎるこの時期に、
数ヶ月〜1年以上も経過観察をしている程、
時間に余裕があるものでもありません。

「首が座らない」に関する事例はこちらへ