4歳3ヶ月 Y君。

1歳7ヶ月で歩き始めたが、2歳ころから急に歩けなくなる。
その後つたい歩きまでは出来る様になる。
療育やリハビリ等、やり尽くしたものの、
脚に力が入らない状態に変化はなく、前進が見られない。
また、以前食物が喉につかえて、
飲み込みがスムーズにいかなかった事が尾を引いてるのか、
食事量が増えず、この2年間体重が全く増えていない。
他、怖がりな傾向にあるとのこと。

初回、立位の確認。
支えてもらいながら立つものの、脚に力が入らず、X脚の形状。
上体が大きく右に横ずれし、下半身は左向きに捻れている。
前後に細長い頭の形だが、形状そのものの歪みはみられない。
しかし、検査してみると、マス目の歪みは大きくみられた。

初回・2回目共、歩きそのものに変化はなかったが、
急に食事量が増える。
調整後から飲み込みが上手くいくようになった様子で、
2年間全く変化のなかった体重が1キロ増加した。
また、怖がりが少なくなり、全体的に活発さが出てきた。

3回目調整の時点では、
上体の右横ズレと臀部の左捻れがかなり小さくなっており、
体幹部がしっかりしてきた。

3回目の調整後、活発さに拍車がかかり、
しょっちゅう動きまわりたがるので危なっかしく目が離せない。

4回目後も歩行に大きな変化はみられないものの、
立ち上がり方がとてもスムーズになる。
今まで歩く度に臀部を左右に振る様な動きだったのが、
臀部が安定し、股関節から脚として動く状態に変化。
全体にギクシャク感が減少してきた。
体重もさらに500グラム増加。

5回目調整後、自分で地面を感じながら歩いてる様子が出てきた。
また、膝がカクンと抜けてしまう事が少なくなり、
膝が関節としてしっかりしてきた様子との事。
体重が増えた事で上体だけでなく、脚全体にも太さが出てきている。
初回の青白い顔色も、赤みをさした健康的な顔色に変化しており、
着実に変化を続けている。

2歳になり歩けなくなった〜②

その後、立っている時間が増え、脚筋肉が発達。
手離しで数秒立てるようになった。
両腕を使いやすくなり、物を右から左へ
移動させるを繰り返したり、
動ける事を確かめ行動が増える。

33回目後、3年半振りに「2歩」歩けた。
手離しでの静止立位時間は更に増加。
食事量の増加、体重、身長の伸びもみられ、
全体的に良好。

ところが、38回目後、再び、
原因不明の激しい咳により食事ができず衰弱。
半月程でなんとか回復し、調整を再開。
食欲も戻り、骨格状態も問題ない。
静止立位時間も引き続き増加中。

2歳になり突然歩けなくなった原因と
思われる咳と同じ状態だった為、
後の回復が心配された。
しかし今回は咳の起きる直前の状態に
速やかに回復した。

以前の咳の後は、食事が喉を通りずらくなった。
医療機関での療法等を継続しても、
食事量が一向に増えず、
身長、体重の伸びも停滞したままだった。

今回の事で、調整により身体が
着実に変化している事が明らかとなった。

42回目後、手放しで「3歩」歩けた。

43回目後からは、毎日自分から歩く練習を始めた。

3歩以上歩けないのは、
股関節を動かす度に頭部が首より前方に出過ぎてしまい、
それが大きなグラつきとなっている為と考えられる。

強烈なX脚のネジレ、骨盤の傾き、
上半身と下半身の横ずれ、肩甲骨の高さ等が改善され
徐々にネジレは減少してきた。

Y君いわく「もう脚には問題ない」

現在「6歩」まで歩ける様になり、
着実に前進している。

持っている歪みの大きさ、複雑さはそれぞれです。
一度の調整で大きく変化する子もいれば、
時間、回数を多く必要とする子もいます。

私達は「骨格細分化調整」という
「マス目の歪みを整える」作業をしていますが、
同時に「中心軸検査法」という方法を用いて、
クライエントの骨格の変化を観察しています。

行動面での変化がみられない時でも、
中心軸検査法により、調整による変化の有無が
分かります。

2歳になり歩けなくなった〜③

昨年10月の時点で、
6歩まで歩ける様になった。
その後、歩行の練習を一人で続けるようになった。
骨格細分化調整を受ける以前は、歩行訓練を嫌がり、
練習する意欲もない様子だった。
骨格調整を受け始めて、元気に動き回る様になっても、
中々独歩が出来ない事がストレスとなり、
調整を嫌がった時期もあった。
それが嘘の様に、何度転んでも立ち上がり、
休む事なく練習を続ける。あまりの熱心さに
「今日はもうこれ位にしたら」と心配で声をかける程。
しかしその姿はとても感動的だったとお母さんが話してくれた。

ところが、12月に入り食事量が減少し始める。
特に水を受け付けず、日に日に痩せていった。
元々、摂食の問題があったが、
骨格細分化調整を受け始めてから
食事量が増え、身体も成長を見せていた。
本人もどうして食べられないのか分からない。
年末年始は点滴を打ちながら何とか年を越した。
立ち上がろうとする意欲はあるものの、
食べられない事で体力も低下、再び歩かない日々となった。

摂食訓練と検査の為、入院するが、結局異常はなし。
前回の原因不明の咳とは違い、
今回は体重の低下が著しかった為、
3月上旬あたりで8割回復レベルと、
回復まで時間を要した。
筋肉的にはほぼゼロスタートとなったが、
骨格状態は歩行可能なレベルにある事は変わらず、
立てない状態に戻った様子はない。
病院の意向、家庭内の様子などを伺いながら、調整を継続。
しかし、食事量が回復しないまま、
歩行訓練等で体力を消耗させる事は、
全体の回復を遅らせてしまう恐れがあり、
慎重に経過を追った。
中旬には歩こうとする気配こそないものの、
手をバタバタさせたり、
全体的に動きたがっている様子が始まる。
ピーク時の体重にはなっていないが、
回復に伴い、肉体的には歩ける条件が揃ってきた。

しかし、歩く事を恐れているのか、
感覚を忘れてしまったのか、
自主的に立つ、歩く気配がみられない。
そこで親子で話合い
「伝い歩きでも良いから、とにかくハイハイは止めよう。」
と決めた。この事で再び立位時間が長くなり、
自主的に歩行訓練も再開し始めた。

ハイハイをやめると決めたのと並行して、
身の回りの事など、自分でやれる事の設定範囲も増やしてみた。
すると数年前の努力は何だったのだろうかという位、
スムーズな動きが増えていた事が分かった。
数年前、何度練習しても出来なかった頃は
見向きもしなかったのが、出来ると分かると、
積極的に取り組むもので、Y君、
一つ一つ色んな興味が増えてきた。
同時に色んな恐怖が減ってきた。
最近Y君から聞く事が増えた言葉
「何で前は怖かったんだろうねぇ?」
本人が一番不思議がっている。
転びそうになるとサッとしゃがむ事で
転倒を防ぐ技を身につけたが、実際転んでも
「そんなに痛いものではないらしい」
という事も体感し、転ぶ事が恐怖ではなくなっていた。
お風呂も苦手だったが、最近は蛇口からお湯が出る事、
鏡の水滴を拭く事、お湯を手でかく事、
色んな事が楽しい様子で、
汗をかきながら長い時間いる様になった。

現在は、家の中ではつかまらないで歩ける様になっており、
コップの水を飲みながら歩く、
食器ののったおぼんを台所まで運ぶなど、
着実に前進を続けている。
まだ自然でスムーズな歩行には至らないが、
野外での歩行訓練を通して
より歩行力が上がるものと思われる。

2歳前後で肉体的な発達には問題がなく、
ただ手を離して立つ事が出来ないお子さんの場合、
数回の調整で自然な独歩となる事が多い。
しかし、4歳以降で肉体的成長の停滞を伴う場合、
歩行可能な骨格状態であっても、
動かし方が分からなくなっている事がある。
成長の時期がズレた為に、使わずにいた部位が廃用化し、
即使える様にならない為と思われる。ここは訓練が必要となる。

Y君の場合は歪みの影響で手の使い方にも未開発の部分がある。
骨格構造的には、歩行可能な状態であるにも関わらず、
中々独歩に向かう気配がなかった頃に、
歩く為の身体の使い方を指導した所、
前回ブログの6歩歩行となった。
まだ歩行が安定しない理由の一つに、
手の動きによる胴体部の運動が連動していない状態があり、
この部分の動きの指導も進めている。
以前は紙のようにフニャフニャしていた胴体も、
今では前後のサポートなく安定して立っていられる。
今後、上肢との連動で体幹部の安定度が向上する事により、
移動に伴う上半身のグラつきに振り回されない
身体に向かう事が期待される。

2歳になり歩けなくなった〜⑤

正直、このタイトルの続きはもうないものと思っていました。
また続きを書ける日がくるとは思っていませんでした。

2017年1月。一本の電話がありました。
先方の名前を聞いた瞬間、
「まさか、これは夢じゃないだろうか?」
聞き覚えのあるその声は間違いなくY君のお母さんの声です。

2歳になり歩けなくなったと題し、1〜4までの経過をアップしてきましたが、2014年5月以降、続きが書けない状態になっていました。

地道に前進してきたY君、
ある日軽度の捻挫のようなことをきっかけに、再び歩くことはおろか、立つ事も出来なくなってしまったのです。

心身共にストレスも高まってか、懸念事項であった摂食の問題も悪化し始め、就学直前に調整は中断。

4歳半から調整を開始し、途中の入退院など、様々な困難を乗り越えて、不安定ながらも、ようやく外で一人歩きが出来るようになり、もうじき一年生という矢先の出来事に、正直、私達も避けがたい気持ちの落ち込みを感じてきました。

その後は、どうされているのか知る由もなく月日が過ぎていきました。

考えても仕方ないけのだけれど、Y君が歩いている夢を見ることもありました。

だから電話の声を聞いた時は、本当に夢かと思いました。

お電話の内容は、
この数年間の出来事、現状、今後の事を含めて、直接会って話しをしたいというお申し出でした。

最後に会った日のすぐ後に再び入院、生死の堺をさまよい、お母さんも「今度ばかりは本当に駄目かも知れない」と思ったそうです。

それでも、再び回復してきてくれたY君。

現状は、調整中断前同様、ある程度の自立歩行までは出来ており、身の回りの事なども自分で出来るものの、明らかに歪みによる不安定さや、連続歩行は数百mが限界など、日常での様々な不便さを抱えていました。

再び調整再開となった今回は、骨格状態、歩行共に、今までとは比較にならないほど、順調な経過を辿っています。

数年前、調整を行っていた頃の、一番の懸念事項は食事量の増加が伴わないことであり、それ故に運動量が増えても、肉体成長が追いつかないという問題がありました。

今回、復活したY君は、どういう訳か、摂食の問題が大幅に改善され、同年齢の子に比べたら、まだまだ少ない量ではありますが、以前とは比較にならないほどに、食べられるようになっていました。

調整の進行に肉体がついてこれる状態である今期は変化も著、非常に順調な様子が見られています。

水を口に含むことすら難しい時期があったあのY君が、
「先生、喉が乾いたので、お水を飲んでもいいですか?」
そう言って目の前でゴクゴクと美味しそうに水を飲んでいる光景に、言葉が詰まる思いでした。

片時も離れず、ひたすらY君を支え続けてきたご家族。
もう一度、この調整に期待をかけて頂けたことに、言い表せない感謝の思いで一杯です。

またY君に会うことが出来て、以前よりも強くなった姿を見る事が出来て、調整師として、こんなに幸せなことはありません。

骨格細分化調整と名付けたこの方法を検証し始めてから、
数え切れない出会い、出来事がありました。

その度に、「諦めないで良かった」
「私はこのために生まれてきたんじゃないだろうか?」
と思わされてきました。

昨年も、嬉しいこと、悲しいこと、悔しいこと、恥ずかしいこと、腹が立つこと、本当に沢山ありました。

でも、数年越しのY君との事で、こんな大きな喜びをもらえて
「骨格細分化調整を諦めないでやってきて良かった。」
心底、そう思います。

2018年、今年も自分達に出来ることを
精一杯やっていきます。

ブログ記事→「施術後の変化を話してくれるYくん」

「立てない、歩けない」について中心軸整体の見解はこちらへ