前のめり姿勢と情緒への影響
子供の前重心、情緒への影響
下のイラスト左と中央では、どちらかというと、中央の背中を反らして胸を張っている子の方が、元気で姿勢がよいと思われることが多いのですが、実際は多くの問題を抱えます。程度にもよりますが、過剰な反り背、反り腰というのも、「ただ普通に立つことが出来ない体の状態」です。
身体の負担となる重心で立つようになる原因は様々ですが、小さいお子さんの場合は、ほとんどがマス目の歪みによるものです。
ソワソワ落ち着かない、人混みが苦手
本来、小さいお子さんほど、右のような前後の偏りのない状態で立っています。
しかし、歪みにより頭部の中心がずれて成長している子の場合、上手くのらない頭部を首から下がバランスをとることで、直立二足歩行での活動を可能にしています。
この時、どうしても骨格本来の生理的湾曲に影響を与えるため、姿勢のおかしさや、歩行、運動機能全般に問題が生じることがあります。左と中央の二人は、歪みにより頭部の中心がずれて成長している例ですが、どちらにしても前重心、前のめりが顕著に見られます。
→「変な立ち方、走り方がおかしい」事例追加 7歳
前のめりで常に倒れそうな状態でいることは、心理的には落ち着きのなさ、気の焦り、せかせかしやすさなどを起します。強度の前重心では、興奮しやすかったり、気短な傾向が見られます。
これも見ようによっては「元気すぎる子」「活発」にも映りますが、小さいお子さんの場合「ソワソワとして落ち着きがない」「興奮しやすく、キレやすい」となっていることもあります。
ただ立っているだけでも、必要以上に疲労するので、前のめりな姿勢に疲れると、真逆の骨盤後傾型の背中全体の丸まった踵重心で立っていることもあります。
背中全体の反り返りか、背中全体の丸まりのどちらかしか出来ないので、座っている時は異常に背中が丸くなり、背骨本来のS字カーブが獲得出来ない肉体環境です。
必要以上の慢性緊張、普通に立っていられないというのは、肉体的な負担、疲れやすさだけでなく、情緒や行動面に影響していることが多くあります。
また、歩行中など、急に止まるのが苦手になるので、人混みでのストレスも高くなります。
「ただ普通に立てる」と、落ち着いた心身の感覚が普通にあるので、そうでない子より、気持ちのコントロールがしやすいです。
→「ただ普通に立てることの価値」
→「ただ普通に立てること 情緒への影響」
マス目の歪みを整えることで、情緒面のコントロールがしやすくなったお子さんの場合、同時に立ち方や姿勢が変化しています。
前重心、身体への負担は?
子供の頃、特に問題になるような肉体状況になかった方でも、その後の成長期の過ごし方や、生活習慣、体の使い方など複数要因により、加齢とともに前重心や、姿勢の崩れは強くなっていくことがほとんどです。
前重心による弊害は数多くありますが、比較的若い方では「前ももばかり太くて、いつも張ってる」「膝下がいつもガチガチに硬い」。
こうした筋肉状態の蓄積により、筋バランスの崩れが進み、加齢と共に、膝、股関節、腰痛、背部痛の悪化などが多くなります。
→「肩甲骨の間の違和感〜姿勢の誤認識という原因」
下のイラストは重心の違いによる脚の筋負担を表しています。
左:「骨格主導」の二人では股関節のほぼ真下に体の重さがかかる状態です。脚の「骨が体重を支える」状態です。
右:「筋肉主導」の二人では骨に負荷がかかるのではなく、筋肉が硬くなって身体を支えています。体の重さが上手に骨を通過しない分、前腿、前スネなどのグレー部分が硬くなり、骨の代わりに支えとなっています。
上半身では腰から後頭部までの背面全体に慢性緊張が生じます。また、つま先寄り拇指球付近に体重がかかるため、足のアーチが崩れやすく、外反母趾が起きやすい状態です。